森下典子 エッセイ

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2003年7月―NO.10

  


真夏にダレがちな食欲に
ガツン!と喝を入れてくれるのは
やはり、あの鼻腔をくすぐる
黄金色の香辛料の香り
ハウス食品の「バーモントカレー」


ひまわり
(画:森下典子)

 さて、話は変わるが、高野孟さんの著書『世界地図の読み方』の中に、
「日本はユーラシア大陸の『パチンコの受け皿』である」
 という一節がある。
 私たちがいつも見慣れている世界地図は、赤い日本列島が真ん中にあって、その西側には、大きなユーラシア大陸が広がっている。だけど、視点を変えて、この地図を、ぐるりと時計回りに90度まわして、西を上にしてみなさい、というのだ。すると、巨大なユーラシア大陸の下に、確かに「パチンコの受け皿」のように、日本列島が置かれている。ヨーロッパやインドや中国から、パチンコ玉のようにジャラジャラと、物や人や文化が落ちてくる。日本列島は、それを、こぼれ落ちないように受け取る地理的構造になっている。そして、受け皿の中のものを、吸収し、すっかり自分のものにしてしまう。それが日本だというのである。
 カレーは、インドからイギリスを経由して日本にもたらされ、「スルメ」や「ちくわ」や「とんかつ」を入れられ、すっかり日本に馴染んで、カレーパンやカレーうどんにもなった。
「パチンコの受け皿」日本のあり方を、端的に物語っている。



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