身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2007年10月―NO.60

  3

どら焼きが薄い、ということ自体、新鮮な食感だった。
皮も餡子も甘めだが、その薄さゆえに程がいい。

梅花亭の「どら焼き」


中松屋の「饗の山」
この薄さが好き

(画:森下典子)

 濃い目の煎茶を丁寧に入れて、さっそくいただいた。
 裏の顔をじーっと眺めて、薄い縁の、一番おいしそうな所から行く。大きな口で、埋まり込むようにかぶりつく必要はない。
 どら焼きが薄い、ということ自体、新鮮な食感だった。皮も餡子も甘めだが、その薄さゆえに程がいい。
 すっすっすっ、と食べ、あっという間に一つが終わった。二つ目のどら焼きに手を伸ばし、私はまたひょいと裏をひっくりかえす。

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