身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
HOME

 


 

2010年1月―NO.86

  3

マネケンの「ベルギーワッフル」ができ、日本にワッフル・ブームが起こった。
今では、誰もがワッフルを知っているし、食べたい時いつでも食べることができる。

マネケンの「ワッフル」


マネケンの「ワッフル」
マネケンの「ワッフル」
(画:森下典子)

 私がついに「ワッフル」に対面したのは、大学4年の時だった。女子大のそばにできた喫茶店のワッフルがおいしいとサークルで話題になっていた。白い皿に載って出てきたのは、四角い穴がボコボコと格子状についたホットケーキのような焼き菓子だった。メープルシロップをかけると、四角い穴の中にとろーりと流れ込んで、沁みていく。こんがりと焼けた表面はパリパリと軽く香ばしい……。
 強く思い焦がれていたからだろうか。そのワッフルは、まさしく思い描いていた通りの味がした。
 数年後、マネケンの「ベルギーワッフル」ができ、日本にワッフル・ブームが起こった。今では、誰もがワッフルを知っているし、食べたい時いつでも食べることができる。
 ワッフル……。
 私は、この言葉が今もたまらなく好きだ。
 それは、もしかすると、ひもじさに号泣したスカーレットを、私も共に生きたからかもしれない。

マネケンのホームページ 戻る



Copyright 2003-2024 KAJIWARA INC. All right reserved