身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子
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2004年7月―NO.22
  3

なんだか、昔いた場所に戻ったような気がする
私の体内の血液が「海」を思い出しているのかもしれない…

桃屋の「江戸むらさき ごはんですよ!」


桃屋の「江戸むらさき ごはんですよ!」
桃屋の「江戸むらさき ごはんですよ!」
(画:森下典子)

 「江戸むらさき」シリーズに、「ごはんですよ!」が登場したとき、見慣れていた紫色のラベルが、えらくカラフルでポップなデザインになったのを見て、私は、
「どうしちゃったの?」
 と、違和感を覚えた。だけど、ラベルがどんなにポップになっても、食べてみれば、やっぱり中身は「江戸むらさき」だったし、
「おとうさん、ごはんですよ〜」
 というコマーシャルには、相変わらず「のり平」が登場していた。なんだかホッとした。
 「江戸むらさき」だけでなく、「花らっきょう」「梅ごのみ」「紅鮭茶漬」「茎わかめ」「いか塩辛」「ザーサイ」「穂先メンマやわらぎ」など、つまり、
「『オツな味』とは、どういう味か?」
「大人たちは、どういう味をおいしいと感じるのか?」
 ということを、私は桃屋に教えてもらった。あれは、1つの味覚教育だった気がする。
 だから、平成11年に、三木のり平さんが亡くなった時、
「桃屋はどうなるんだろう」
 と、私のみならず、多くのファンが案じた。しかし、声のそっくりな、のり平さんのご子息、のり一さんがそのまま「世襲」し、コマーシャルは今日も続いている。
 今年は、「ごはんですよ!」発売30周年だそうだ。へぇ〜、もうそんなになるのか……。
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