身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子 |
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2005年7月―NO.33 | |||||
夏になると自然に、 「ナタデココ」や「タピオカ」などの、 | |||||
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大阪夏の陣で滅亡する豊臣方に忠誠を誓い、家康に立ち向かった真田幸村である。 誰もが、強いものに従っていく時代の趨勢に逆らい、毅然と己の節を貫く、最後のサムライである……。 私は子供の時分から、土方歳三や真田幸村のように、最後の最後まで抵抗し滅亡した側に共鳴する性分だ。 ところが、ナタデココを食べていると、自分の中に、抵抗する者をぶっつぶす本能的な喜びがあることに気づく。 潰されまいと抵抗するナタデココを歯で押さえ込みながら、 「どうだ、逆らえまい。ひねりつぶしてやる」 と、徳川家康のように思う。じわじわと噛みつぶしながら、 「ほれ、抵抗してみろ。むふふふ」 と、ほくそえむのである。ところが、ナタデココは、噛まれながらも、あくまでブニブニと抵抗する。 「んーっ。小癪なやつめ」 気持ちがチリチリするような衝動にかられ、 「これでもか!これでもか!」 と、徹底的に噛み潰す。 ついには、さしものナタデココも、ぺっちゃんこになり、もはや何の抵抗もしなくなる。ただの繊維となって、ペロ〜ンと歯と歯の間に挟まったりするのである。 そうなると、哀れで淋しい。私は、ナタデココには、あくまで強く抵抗してもらいたい。ブニブニと噛みにくく、抵抗されればされるほど、燃えるのである。 | |||||
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