2006年12月―NO.50
スイスチョコレートと、スポンジと、クルミのバランスがピタリと合って、 贅沢な味がする 自分がキラキラと輝く世界にいるような、 幸せを感じるのだ トップスの「チョコレートケーキ」
ごちそうさまでした (画:森下典子)
ふわふわとして、角もしなだれた柔らかいチョコレートケーキを、フォークの峰で押すと、柔らかく皿に倒れた。そのチョコレートをフォークでしゃくって舐めてみた。 「……ん!」 押し付けがましさのない、上品で繊細なチョコレートの風味に、思わず、顔ごととろけた。 それが「スイスチョコレート」だと、ずっと後になって知った。 この柔らかなスイスチョコレートが、ふわふわのスポンジ生地を包んでいる。口に入れてみると、柔らかさの中に、ゴリゴリとした別の食感がある。クルミである。大粒のクルミが、チョコレートの中にふんだんに入っていたのだ。 「どう?おいしいでしょ」 「うん!」 スポンジの層と、チョコレートの量のバランス、胡桃の大きさ。すべてがピタッとうまく合って、贅沢な「三つ巴」のハーモニーを作っていた。