身近な生活の中のおいしさあれこれを1ヶ月に1度お届けします 森下典子 |
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2009年4月―NO.78 | |||||
口に入れると、葛がひんやりとし、うっすらと甘い。 | |||||
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40年以上たった今でも、私は初鰹を食べると、あの日が蘇る気がする。桃色の柔らかい刺身の縞と縞の間から、木々の若葉の匂いや、燃え立つツツジの色、菖蒲湯の湯気の匂い、子供時代のゴールデンウィークの開放感がやってくる。父も母も若かった。家族4人で食卓を囲んだ休日の、どこにでもある一瞬……。 | |||||
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