2010年5月―NO.90
その記憶のせいだろうか。 私は今でも、関西風のお好み焼きを食べる時、 頭の奥で、「こんにちはーこんにちはー」と、三波春夫の歌声を聴く 大阪万博の「お好み焼き」 (日清フーズの「フラワー 薄力小麦粉」)
日清フーズの「フラワー 薄力小麦粉」 (画:森下典子)
ところで、私には大阪万博で思い出す味がある。「お好み焼き」の焦げたソースの匂いとキャベツの芯の味だ。ドイツやカナダのパビリオンで何か食べたはずなのに、味の記憶がない。妙にはっきり覚えているのは、炎天下、長蛇の列を作って買った大阪の屋台の味である。 コンクリートで囲まれた8月の万博会場に陽炎がゆらめいていた。暑さと疲労がピークに達した午後、テントから、 「ジャーっ」 と、音がして、ソースの焦げる匂いが漂ってきた。 「あれ食べよう」 と、父が言った。まだ、関西風お好み焼きのチェーン店が関東に進出する前の話だ。私も弟も「お好み焼き」は初めてだった。