技術を探求してやまない溶接のエキスパート。資格取得にも積極的で、新しい知識やスキルの修得に余念がない。
カジワラの伝統の技を受け継ぎながら、コア技術の高度化に寄与している。
趣味は音楽。特にパンクロックが好き。大音量で聴くと仕事の疲れも一気に吹き飛ぶという。
小さい頃からプラモデルづくりなどが好きで、工業系の学校に進みました。就職先としてカジワラを選んだのは、先生から「カジワラなら大丈夫」と太鼓判を押されたことも大きかったですが、一つひとつオーダーメイドで品質の高い製品を生み出すという、カジワラのモノ造りのスタイルに共感し、その一員になりたいと思ったんです。
入社後、希望して溶接の担当になりました。工業系の学校で学んでいたとはいえ、仕事はほぼゼロからのスタート。先輩たちの仕事ぶり、手の動かし方などをじっくりと見て、真似ることから始めました。技能の世界ですから、言葉だけでは伝えられないこともあり、今だからこそ先輩たちの技の凄さを改めて感じることも多いです。
溶接とは、簡単にいえば、金属と金属をくっつけること。私は鍋を担当。蒸気で加熱できる機能などを持たせるために、必要な部品同士を繋げていきます。最終的にどんなふうに使われるか、どんな組立をするのかといった後の工程や最終製品のことを考えながら、溶接の仕方を変えていきます。
例えば、合板したとき、表面がデコボコしていたら、チャーハンや焼きそばなどの食品が焦げてしまいます。溶接が甘いと、蒸気で膨張したときに鍋が割れてしまうこともある。溶接は、食品の品質や食品機械の耐久性にも大きな影響を与えるもの。だから、少しも手を抜けません。
私は溶接こそが食品機械造りの主役だと思っていますが、それぞれの担当者も同じように思っていることでしょう。カジワラの食品機械造りは、全員が主役であり、プロフェッショナルなんです。
例えば、ロボットや3Dプリンターでも、熟練の技術者の腕には敵いません。全く同じ製品を全く同じ条件でつくるのであれば、ロボットのほうが効率良いのかもしれない。しかし、カジワラはお客様の求めるものをオーダーメイドで造り上げていきます。材料もその日によって状態が変わってくる。さまざまなことを考え合わせながら、技術者の経験や感性で最高のモノに仕上げていくんです。
入社した段階では、技術や知識がなくてもいい。私自身、何もわかりませんでした。それより大切なのは、モノ造りに対する熱意を持っているかどうかです。溶接はある意味、職人的な技術の世界です。でも、今は「見て覚えろ」という時代ではありません。しっかり後輩ともコミュニケーションを取り、共にカジワラの伝統の技を高めていきたいと思っています。